
【営業担当者必見】終活ニーズを引き出すヒアリング術とは?信頼を得る質問例付き
なぜ「終活のヒアリング」が営業で重要なのか?
終活市場は今、急速に拡大しています。
日本では65歳以上の人口が全体の約30%を占め、高齢者一人ひとりの価値観や暮らし方も多様化しています。
そんな中、モノやサービスを「売る」だけの営業では通用しなくなってきています。
特に終活に関連するサービス(保険・不動産・介護・相続・葬儀など)は、お客様が自ら「今すぐ必要」と感じにくい領域です。
だからこそ、営業担当者には“顕在化していないニーズを丁寧に引き出す力”が求められます。
その起点となるのが「ヒアリング」なのです。
高齢者の多くは、表立って「困っている」とは言いません。
「家族に迷惑をかけたくない」「老後の準備をしておきたい」という思いを心に秘めつつも、どう行動すればよいかわからずにいる方が多いのが現状です。
その想いを引き出し、言葉にしてもらうには、営業担当者の聴く力・共感力が不可欠です。
また、終活というテーマは「死」「老い」といったセンシティブな要素を含むため、信頼関係の構築が何よりも重要です。
ヒアリングは単なる情報収集ではなく、信頼を築く行為そのもの。
商品を提案する前に、「この人なら任せられる」と思ってもらえるかどうかが、成約率や紹介につながります。
つまり、終活営業におけるヒアリングとは、営業の入口であり成果に直結する最重要プロセスです。
このセクションでは、そんなヒアリングを成功させるための基本姿勢と実践テクニックを、順を追って解説していきます。
終活ニーズを引き出すヒアリングの基本姿勢
共感重視:否定せず、じっくり話を聞く
終活に関する話題は、誰にとってもデリケートなものです。
とくに高齢者は、自分の老いについて語ることに戸惑いや不安を感じるケースが多くあります。
そうした心理的ハードルを越えるには、営業担当者が「否定せずに話を受け止める」姿勢を持つことが何より大切です。
たとえば、お客様が「何も準備してないのよ」と口にした時、それを責めるような口調や、すぐに「今のうちにやっておきましょう」と急かす態度はNGです。
「そうですよね。なかなか始めづらいテーマですよね」と寄り添う言葉を返すだけでも、相手の心は開きやすくなります。
質問は「Yes/No」で終わらせない
終活営業では、「はい」か「いいえ」で完結するクローズドクエスチョンでは、本質的なニーズを探りにくくなります。
「終活に興味はありますか?」と尋ねて「はい」または「いいえ」で終わってしまえば、それ以上の会話が続きません。
そこで有効なのが、オープンクエスチョンと呼ばれる自由回答型の質問です。
「ご家族とは将来のことについて話されたことはありますか?」「老後にどんな暮らしをしたいとお考えですか?」など、考えや感情を自由に話してもらえるような問いかけを意識しましょう。
“心配ごと”にフォーカスする
終活を始めるきっかけは、多くの場合「不安」や「心配ごと」です。
本人は具体的なサービスや商品を求めていなくても、「何かあったときに家族に迷惑をかけたくない」「施設に入ることになったらどうしよう」といった漠然とした不安が心のどこかにあります。
営業担当者としては、こうした「心配のタネ」に耳を傾けることが、提案への第一歩となります。
「最近、体調のことで気になることはありますか?」「老後の生活で何か不安に感じていることはありますか?」といった問いを通じて、相手の内面に寄り添うことが大切です。
信頼関係を築くためのヒアリングステップ
ステップ①:雑談から自然にライフスタイルを把握
終活という言葉は一般的になってきたとはいえ、いきなり「終活されていますか?」と聞かれて、心を開ける方は多くありません。
信頼関係を築くには、まず雑談を通じて日常の生活スタイルや価値観をさりげなく把握することが重要です。
「今日は暑いですね」「最近どこかお出かけされましたか?」といった何気ない会話から、「毎日どんなふうに過ごされていますか?」「最近よく会うご家族は?」など、徐々に相手の暮らしぶりに触れていきましょう。
ライフスタイルを把握することで、将来的に必要になりそうな支援や提案のヒントが見えてきます。
ステップ②:「将来」に話を向ける質問を入れる
生活スタイルやご家族の話を通じてある程度打ち解けてきたら、「将来」の話題に少しずつシフトしていきます。
終活は未来志向の活動です。
「今後どんな暮らしを送りたいと考えていらっしゃいますか?」「何かこれからやってみたいことはありますか?」といった質問で、自然に話の流れを変えていきましょう。
ここでは、無理に「お金」「お墓」「介護」などの重たい話題を出さないことがポイントです。
あくまで「この人は、私の人生のことを真剣に考えてくれている」と思ってもらえるような丁寧なやり取りを意識しましょう。
ステップ③:「今すぐできること」に落とし込む
将来に対する希望や不安を聞き出せたら、そこで終わりではありません。
大切なのは、相手が「今すぐできること」へ自然に踏み出せるよう背中を押すことです。
たとえば、「エンディングノートを少しずつ書き始めてみませんか?」「資産整理の話、今度専門家と一緒に相談してみませんか?」など、ハードルの低い提案を行いましょう。
このとき、「営業されている」と思われないことが何より大切です。
「ご希望に合いそうな資料があるので、必要でしたらお持ちしますね」など、選択肢を渡すような言い回しが効果的です。
信頼関係の中で提案されるサービスや支援には、お客様も前向きに応じてくれやすくなります。
この一連のステップを丁寧に踏むことが、終活営業における「押し売り」と「信頼される相談相手」の大きな違いとなります。
終活ヒアリングでNGな質問・対応とは?
「何か困ってますか?」はNGワード
高齢者に対して「何かお困りのことはありますか?」という質問は、一見親切に見えますが、実は会話を閉ざしてしまうきっかけになりやすい言葉です。
多くのシニア世代は、「迷惑をかけたくない」「大丈夫だと思われたい」という想いが強く、たとえ何かしらの悩みを抱えていても「特に困っていない」と返してしまうことが少なくありません。
そのため、質問の仕方を工夫することが必要です。
たとえば、「最近、ちょっと気になっていることってありますか?」や「昔と比べて、何か不便に感じることはありますか?」など、“困っている”を前提にしない柔らかい聞き方が効果的です。
専門用語や制度の説明で一方的にならない
終活には法律・金融・医療・介護など、専門用語や制度の話がつきものです。
「成年後見制度」「任意後見契約」「家族信託」など、営業側としては正確な説明を心がけたいところですが、お客様の理解度や関心に合わせない一方的な説明は、かえって不信感を生む原因になります。
大切なのは、「難しいことは簡単に伝える」姿勢です。
制度の説明は必要最小限にし、「たとえばこういう場合に役立つんですよ」と具体例を交えて会話形式で進めましょう。
理解が深まれば自然と興味も高まり、次の提案にもつながります。
家族構成を無理に深堀しすぎない
終活の提案において、家族構成や親族との関係性は重要な要素です。
しかし、「お子さんは何人いらっしゃるんですか?」「最近会っていますか?」など、家庭事情に踏み込みすぎた質問は、相手を不快にさせてしまうこともあります。
とくに家族関係に悩みを抱えている場合や、事情が複雑なケースでは、強引な質問は信頼を損なう要因になります。
まずは相手の話の中に自然と出てきたキーワードを拾いながら、「ご家族の話題」に触れるかどうかを判断するようにしましょう。
話すかどうかは相手のペースに委ねる。これが終活営業における基本スタンスです。
実践向け:終活営業のヒアリング質問例10選
ここまで終活ヒアリングの基本姿勢と注意点を解説してきましたが、実際の営業現場では「どんな質問から始めればいいか分からない」という声も多く聞かれます。
そこでこのセクションでは、現場ですぐ使える具体的なヒアリング質問例を10個にまとめました。
ライフスタイル、将来設計、不安ごとなど、さまざまな角度から自然にニーズを引き出せる内容となっています。
- 「普段はどのように過ごされていますか?」
雑談感覚で始められる質問。生活スタイルから健康や趣味の話題へつなげられます。 - 「これからやってみたいことはありますか?」
前向きな意欲や夢を聞くことで、提案のきっかけを探れます。 - 「ご家族とはどのくらいの頻度で会われていますか?」
家族との関係性を自然に聞き出せる定番の問いです。 - 「老後に不安なことや心配なことはありますか?」
不安ベースのニーズを探るための王道質問です。 - 「相続や財産の整理について考えたことはありますか?」
重すぎずに切り出すことで、節税や信託の話にもスムーズにつなげられます。 - 「ご自宅について、今後どうしていきたいとお考えですか?」
住まいに関する考え方を引き出し、不動産やリフォーム提案につなげる導線に。 - 「昔と比べて、不便に感じることはありませんか?」
体の変化や生活環境の変化を探る質問。介護や見守りサービスの提案に応用できます。 - 「“もしもの時”のこと、ご家族と話したことはありますか?」
エンディングノートや葬儀の話題への自然な導入として使える質問です。 - 「人生でやり残していること、何かありますか?」
願望・後悔に寄り添いながら、終活を前向きに捉えてもらえるきっかけに。 - 「“ありがとう”を伝えたい人はいますか?」
感情に寄り添った共感型の質問。信頼関係を深める際に有効です。
これらの質問は、すべて「答えやすさ」と「感情に寄り添う設計」を意識して構成しています。
会話の中で無理にすべてを聞こうとせず、相手の表情や反応に合わせて選ぶことが大切です。
ヒアリングの目的は情報を引き出すことではなく、「この人なら安心して話せる」と思ってもらうことにあります。
まとめ|ヒアリングは“商品紹介の前に終活支援の第一歩”
終活営業において、最も重要なのは「何を売るか」ではなく、「どのように寄り添うか」です。
その出発点となるのが、ヒアリング。
話を“聞く”ことは、単なる情報収集ではなく、お客様に「安心」と「信頼」を届けるための行動です。
高齢者の方々は、「営業されている」と感じた瞬間に心を閉ざしてしまいます。
ですが、あなたが“人生に向き合うパートナー”として寄り添う姿勢を見せたとき、相手の本音や不安、希望が少しずつ見えてきます。
そしてその信頼関係の中で初めて、サービスや商品が意味を持ち、価値ある提案に変わります。
終活の話は重たくなりがちですが、営業担当者の「聴く力」次第で、それは“前向きな人生設計の一歩”へと変えることができます。
終活は、営業のためのテーマではなく、人生を支えるための対話です。
ヒアリングという一つひとつの会話が、多くの人の心を軽くし、未来への準備を後押しする力になります。
どうか、今日からの一言が誰かの人生に寄り添うものとなりますように。
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